【ムニ】ムニ『ことばにない』後編

レズビアンアイデンティティを巡る演劇、完結

STORY

20代後半を迎える朝美、かのこ、ゆず、美緒は元高校演劇部であったことを共通点に、友人関係にある。ある日、顧問の先生の訃報と残された草稿が発見される。「わたしはことばそれ自体になりたかった」「欲望は見えなくされているだけだ」と書かれたそれは、完成された物語ではなく、レズビアンであるというカミングアウトを含んだ未完成の言葉の集合体だった。4人は残された言葉を聞き、それぞれの欲望について語りはじめようとするが。

恋人の花苗と距離を置いたかのこ。花苗の撮った人生の幸せな時間、奇跡みたいな瞬間を切り取った映画は溜まっていく。長年付き合っていた恋人のプロポーズを保留する朝美、地元にいる両親の様子を見に時折帰省するゆず、何かのメンバーになりたかったとこぼした美緒とは、連絡が取れなくなる。

困難さの中で、それぞれの本当を、隠された欲望を求めていく、レズビアンの女性を中心とした4人の女性の物語。

 

『ことばにない』前編(2022)公演アーカイブはこちら

INTRODUCTION

『ことばにない』は2019年から約4年間執筆中の戯曲(演劇の脚本のことを戯曲と言います)です。上演時間は前後編を合わせると約8時間程度の作品となっています。

はじめに、なぜこの物語を書くことになったのか、長い作品になったのか、について書きます。日本語で、レズビアンの女性が主人公の物語を書きたい、という思いが長らくありました。単なる表象だけではなく、アイデンティティについてもきちんと描くということを行いたかったのです。描こうとしているのは、日本語の物語の中で、あまり描かれてこなかった人たちの姿や言葉です。省略して見やすい物語とするのではなく、一人一人の人物の内面まで丁寧に描きたかった。

演劇では内面は描けない、想像させるのだ、と言われています。演劇の持つ普遍性とアイデンティティを語ることとは対極にあることだとも思います。作家としての志向と変えられない個人のあり方の交差するところからこの作品ははじまりました。したがって、どなたかを取材して、本作に取り組んでいる訳ではありません。一人の生活者としての、差別的な発言を投げ掛けられ落ち込んだり、おしゃべりをして楽しく過ごしている日常が創作の背景にはあります。

前編では呪いの可視化(問題提起)、後編では呪いを解く(問題解決)を指針としています。女性であり、同性愛者であるアイデンティティについて、2023年の現在地としてのフィクションの力をもって聞き、語ることを目指します。

最後になりましたが、本作後編の上演時間4時間は、物語の中の一人一人を描くために必要な時間です。そのため、最初から最後まで4時間という時間を通して、作品を観ていただきたく思っています。作品内容に関しての事前のアナウンスの実施や、上演途中で気分が悪くなった場合等には、途中退場していただけるよう、導線も確保いたしますので、お声掛けください。腰が痛くならないようにクッションもご用意しています。途中休憩もございます。上演時間等に関しては詳細が決まりましたら、ムニホームページ、SNSにて細かくアナウンスしていきますので、何卒ご理解いただきますようお願いいたします。

これは、困難の多い時代を生き抜く人々の現在形の物語であり、物語からはじまるであろうそれぞれの日常へ向かう叙事詩です。ことばにない、ことばだけじゃない、それをわたしは演劇と呼んでいるのかもしれません。

2023年6月30日 宮崎玲奈 

CAST/STAFF

出演

石川朝日、浦田かもめ、黒澤多生(青年団)、田島冴香(FUKAIPRODUCE羽衣)
豊島晴香、南風盛もえ(青年団)、藤家矢麻刀、古川路(TeXi’s)、巻島みのり
ワタナベミノリ、和田華子(青年団)

 

スタッフ

作・演出:宮崎玲奈

空間設計:中谷優希
舞台監督:黒澤多生(青年団)
舞台監督補佐:水澤桃花(箱馬研究所)
照明:緒方稔記(黒猿)
照明操作:伊藤拓(青年団)
音響デザイン:SKANK/スカンク(Nibroll)
音響操作:吉田山羊
衣装:坊薗初菜(青年団)
演出助手:伊藤拓(青年団)、新田佑梨(青年団)
宣伝美術:江原未来
制作:河野遥(ヌトミック)
制作補佐:上薗誠、中越唯菜

『ことばにない』前編 撮影・編集:小宮山菜子

TICKETS

2023年11月9日(木)-19日(日) 全12ステージ

11月10:3011:0014:0017:00
9日(木)
10日(金)
11日(土)
12日(日)
13日(月)
14日(火)
15日(水)
16日(木)
17日(金)
18日(土)
19日(日)
★=前半割引  ◎=アフタートークあり  映=『ことばにない』前編上映

*受付開始は開演の30分前・開場は開演の20分前
*上演時間は4時間30分(休憩込み)を予定。確定次第、ムニのHP・SNSにて告知いたします

*アフタートーク
以下の回の終演後、宮崎玲奈とゲストによるアフタートークを開催いたします。
11月12日(日)14:00 ゲスト:青本柚紀さん(研究者)
あおもと・ゆずき
東京大学人文社会系研究科博士課程在学中。専門はフェミニズム・クィア理論、とりわけジュディス・バトラー。『反トランス差別ZINE——われらはすでに共にある』に編集・執筆で参加。共著に『最先端の研究が教える すごい哲学』(総合法令出版)。

11月17日(金)14:00 ゲスト:関根信一さん(劇作家、演出家、俳優、フライングステージ代表)
せきね・しんいち
劇作家、演出家、俳優。1992年よりオープンリーゲイの劇団、フライングステージ代表。ゲイであることにこだわった作品を作り続けている。近作に、高校を舞台にした『お茶と同情』、小学校を舞台にした『アイタクテとナリタクテ』、HIV内定取消訴訟を描いた『Rights, Light』、ゲイの老いと死について考える『Four Seasons 四季 2022』。ゲイの視点でシェイクスピアを翻案した『贋作・十二夜』『贋作・終わりよければすべてよし』など。他劇団での作演出作に、LGBTを題材にした子ども向け作品『わたしとわたし、ぼくとぼく』(劇団うりんこ)など。

■『ことばにない』前編上映

昨年上演した『ことばにない』前編の映像上映を行います。

*上映時間は4時間30分(全3幕構成 幕間休憩込み)
*受付開始・開場は上映15分前

■会場

こまばアゴラ劇場

〒153-0041 目黒区駒場1-11-13
京王井の頭線「駒場東大前」駅東口より徒歩3分

■チケット料金

一般発売:8月1日(火)正午
こまばアゴラ劇場支援会員・「ムニの発酵シアター2023」会場先行:7月13日(木)

『ことばにない』後編
前半割引一般:4,000円、一般:4,500円、25歳以下:3,500円、18歳以下:1,000円
当日券:各500円増

『ことばにない』前編上映 ※一般発売のみ
予約・当日:2,000円

*日時指定・全席自由・整理番号付
*25歳以下・18歳以下の方は、受付にて証明書をご提示ください。
*未就学児童はご入場いただけません。
*開場時刻より整理番号順にご入場いただきます。その後は、整理番号に関係なく受付順にご入場いただきます。
*整理番号は【劇場支援会員→事前決済→当日精算→当日券】の順序で、劇場支援会員・18歳以下の方は当日受付順、一般・25歳以下の方は決済完了順となります。
*車椅子でご来場のお客様は事前にお申し出ください。

■チケット取り扱い

PassMarket[事前決済|一般・25歳以下・前編上映]
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/024sz8t66z431.html

メール[当日精算|18歳以下のみ]
件名を「ことばにない 18歳以下予約」として、①氏名(ふりがな)、②ご希望の日時、③枚数、④お電話番号をご記入の上、muni62inum@gmail.com(ムニ)までご連絡ください。ムニからのご返信をもってご予約完了とさせていただきます。

EVENT

ムニの発酵シアター2023

2023年7月13日(木) – 17日(月・祝)
会場:元映画館

詳細はこちら

お問い合わせ:muni62inum@gmail.com(ムニ) 

企画制作・主催:宮崎企画
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成]
協力:黒猿、青年団、TeXi’s、Nibroll、ヌトミック、箱馬研究所、FUKAIPRODUCE羽衣、プリッシマ、有限会社ブレス・チャベス事業部、(有)レトル