ムニ新聞・特別号(2022.9)

ムニは、2022年9月で地味〜に5周年を迎えます。日頃、ムニや宮崎企画の活動を応援してくださっているみなさん、いつも、ありがとうございます。

白塗りをして踊り狂うようなアングラ演劇もどきをやっていて、色々と疲れてしまったのもあり、自分の手の届く範囲から始めてみようと、大学3年生の9月にムニをはじめました。物を書くことはこれまでも行っていたものの、戯曲を書かないでいた時、「現実の強度が強すぎて、物語ってことがわかんないんですよねー」と、こまばアゴラ劇場で、犬飼勝哉の演劇の犬飼さんにポロッとこぼしたら、「それでも書くんだけどね、保坂和志とか読んでみたら?」と言われたことがきっかけで、戯曲を書きはじめました。元々、物語ということが、私にはよくわからなかったのです。

最近は私一人の手には負えない規模になってきたのもあり、周りの人の助けを借りながら活動を続けています。いろんな助成金や企画等に落とされたことも数多く、また、コロナ生活にも突入した訳で、これまでの5年は順風満帆とは言い難いものでした。ハロー!プロジェクトの新人加入のメンバーたちの成長に自分の姿を重ね合わせて、モーニング娘。の「好きな先輩」を聴きながら元気になるような夜もありました。演劇は自分勝手にやっているのだから、大変とか言うな、という空気感を最近は感じたりもして、心の中では静かに怒ってもしまいます。去年もAFFという助成金の影響で大量に公演が行われ、影響がありました。わかります、そんなこと言ったって、知ったこっちゃ、なんですよね。そんなこと言う必要がないじゃん、って言いたくなるんですよね。でも、私は言いたくなっちゃうんだと思うのです、これからも。どうして攻撃されなきゃいけないの、意味わかんないよ、って言いたくなってしまうのです。だって人間だから。

ムニとは別にやっている演劇の色々もありますが、ムニの演劇の形、戯曲を上演するという古典的なスタイルもわたしはしっくり来てしまうのです。で、今年は『ことばにない』を上演します。どうして4時間なのかと言われたら、現実のことも大切にしたいと思うから、そのリアリティを担保したいという思いがどこかにあったからだと思います。物語のことなんて、今でもわからないと思ってしまいます。それでも書くのですが、物語を信じてもいるから。

なんだかすーっごく暗い感じになってしまったのですが、これまで宮崎やムニ宮崎企画のことを支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。それは観客として作品を観るという形で、参加してくださった方を含みます。ムニは宮崎が生きている限りは、今後も続けていく予定です。怖かったり、悔しかったり、傷を与えられたことの方を記憶してしまいがちだけど、同じくらい、それ以上に楽しいこと、嬉しいこともあったのだと思います。そういう、いい記憶の方も大切にして続けていきたいです。こんな私ですが、引き続き、ついてきてもらえたら嬉しいです。

ひとまず、11月のムニ『ことばにない』を観に来てください。おそらく宮崎史上、一番良い作品になるような気がしています。

(裏面には旗揚げ公演『川、くらめくくらい遠のく』のテクスト1を掲載しました)