『ことばにない』前編を含む過去作品の特集上映と、その他複数のイベントを実施します。イベントでは出演者の公募もいたします。これらの集まりを「発酵シアター」と名付け、開きます。
2023年7月13日（木）〜7月17日（月・祝）
会場：元映画館
NEWS
6.17 発酵イベント詳細発表＆チケットの予約を開始しました
「シアターのために」
ムニでは大きく、演劇の支持体を「集まりであること」と規定しています。演劇作品の上演時には、その場で発生する集まりの一回性や現象を無視しないこと、を大切に創作を行っており、例えば、ゴホンゴホンという咳が客席から起これば、そこで起こった咳を無視しないでください、という共有を俳優とは行っています。観客・俳優の双方向の作用が現在形で働いていくことを、演劇の支持体の基盤として捉えている。そこには同時代性も内包されています。
その上で、演劇の双方向作用を「上演映像を観る」という行為の中でいかに捉えるか、ということが発生します。「映像を観る」ことによって、演劇を上演する場合に起こるその場での直接的な外的な相互作用はなくとも、内的な相互作用は発生するだろう、と推測できる。
上演映像を観るという行為も、できれば一回性をもった「集まり」の中で観ることをムニとしては推していきたい。わたしたちは2023年の現在形の集まりの中で、過去に上演した作品群を捉えることをしてみたい。いつ、どのような集まりの場所で観たか、ということも、映像の観劇体験と相互影響があるのではないかと考えます。
発酵シアターという名前は、この作品は今後ぜひ上演してほしい、や、もう少し変化していくさまがみたい、この作品のこの部分の解釈を自分はこのようにした、長い時間の中で作家はこのように変化しているのではないか等等、映像上映とイベントを通して、ムニ対観客だけではなく、観客対観客を含めた、「現在形の中での、対話の発生可能性を内包したシアター」として開いていきたい、という思いから、名付けました。個人的に現在の演劇批評に対して思うところもあり、批評の可能性を探りたい、というような思いも同時にあります。
演劇には再演というシステムがあり、例えば3年前に行った演目を3年後に上演する、といったことが起こります。再演は初演と同じキャストやスタッフで行うこともあれば、総入れ替えで全く別の作品としてつくることを目指す場合もあります。2023年の現在形で開かれる「発酵シアター」の中で、その可能性も探っていきたく思います。
わたしたちは「上演映像を観る」という行為の中にも集まりの一回性を考えていきます。
これをもって、シアターのための宣言とさせていただきます。
宮崎玲奈（2023.6.1）
会場
〒116-0014 東京都荒川区東日暮里３丁目３１−１８ 旭ビル 2F
JR常磐線 三河島駅より 徒歩 5分 / JR山手線 日暮里駅より 徒歩15分
料金
ワンデイパス 2,000円
フリーパス 4,000円 ※１ドリンクチケット付き
＊自由席・入退場自由・再入場可
＊１ドリンク別。当日会場にてドリンクのご注文をお願いいたします。
＊フリーパスチケットは１ドリンク分のチケットがつきます。２日目以降はドリンクのご注文をお願いいたします。
＊『ことばにない』前編のみ、チケット購入時に座席予約（自由席）を承ります。当日のお申し出でもご入場いただけますが、お席がご用意できない場合はお立ち見の可能性がございます。
＊２日以上ご来場予定の方は、フリーパスがお得です。
予約
＊6月17日（土）10:00予約開始
＊各種クレジットカード、コンビニ／ATM （ペイジー）、PayPalがお使いいただけます。
オリジナルグッズ＆ドリンクメニュー
coming soon…
タイムテーブル
DAY 1
7月13日（木）
14:00 オープニングイベント〈ムニ『ことばにない』後編＆その他記者会見〉
15:30 上映『ことばにない』前編
20:00 前夜祭
DAY 2
7月14日（金）
12:00 上映『須磨浦旅行譚』
13:30 上映『回る顔』上演版
14:30 上映『真昼森を抜ける』
16:30 上映『ことばにない』前編
DAY 3
7月15日（土）
10:30 上映『回る顔』ライブ配信版
11:30 発酵イベント① 吉田山羊 and more…*
13:30 上映『東京の一日』
15:00 発酵イベント② 黒澤優美 新作リーディング
16:30 上映『ことばにない』前編
*発表者：吉田山羊／赤刎千久子／加賀田玲・藤家矢麻刀・松尾由津香・宮崎玲奈・吉田山羊／野崎詩乃／マルレーベル／みのりぬと相根優貴
DAY 4
7月16日（日）
11:00 上映『ことばにない』前編＋アフタートーク*
16:30 発酵イベント③ ムニの定期稽古中間発表
17:00 上映『忘れる滝の家』
19:00 上映『真昼森を抜ける』
20:00 中夜祭
*アフタートークゲスト：青本柚紀（あおもと・ゆずき）
東京大学人文社会系研究科博士課程在学中。専門はフェミニズム・クィア理論、とりわけジュディス・バトラー。『反トランス差別ZINE——われらはすでに共にある』に編集・執筆で参加。共著に『最先端の研究が教える すごい哲学』（総合法令出版）。
DAY 5
7月17日（月・祝）
11:00 上映『東京の一日』
13:00 上映『須磨浦旅行譚』
14:20 発酵イベント④ 宮崎と吉田 and more…*
15:30 上映『ことばにない』前編
20:00 クロージング・交流会
*発表者：宮崎と吉田／亜人間都市／アルマジロかぁちゃん／吉田山羊／ゆずまる with イマジナリーフレンズ
*アルマジロかぁちゃんは団体の希望により出演を見合わせることとなりました。代わりの演目といたしまして、吉田山羊『上演前』が2回目の発表を行います。（7/13）
※発酵イベント①・④の開始時間が初出時より変更となりました（6.17）
上映作品一覧
©︎ 志賀耕太
『須磨浦旅行譚』
出演：石渡愛* 南風盛もえ* 藤家矢麻刀 （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2021年｜こまばアゴラ劇場｜76分
高校の同級生カナコの突然の事故死から一ヶ月後、
東京に住むわたしと地元高知に住むマナカの二人は須磨に住む
高校の同級生、藤くんに会いに行くことになる。
旅の途中、ヒッチハイクをしていた松田さんとサービスエリアで出会うが。
実験劇場卒業公演・宮崎玲奈卒業制作として初演（2019年明治大学和泉キャンパス第一校舎005番教室）、令和元年度北海道戯曲賞最終候補作
©︎ 河野遥
『回る顔』ライブ配信版
作・演出：宮崎玲奈
出演：黒澤多生* 南風盛もえ* 藤家矢麻刀 宮崎玲奈 （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2020年｜こまばアゴラ劇場｜71分
田舎に住む危篤の父を訪ねる女。
付いてきてほしいと言われ渋々付いて行く男。
訪ねた先では、不思議な現象が次々と起こっていく。
映像撮影に小宮山菜子を迎え、無料ライブ配信を行った。
※YouTubeライブでの生配信作品
©︎ 志賀耕太
『回る顔』上演版
作・演出：宮崎玲奈
出演：新田佑梨* 黒澤多生* 伊藤拓* 日向子* （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2021年｜こまばアゴラ劇場｜61分
田舎に住む危篤の父を訪ねる女。
付いてきてほしいと言われ渋々付いて行く男。
訪ねた先では、不思議な現象が次々と起こっていく。
2020年のライブ配信版を劇場公演として再編した。
※2020年のライブ配信版を上演版として創作
©︎ 志賀耕太
『忘れる滝の家』
作・演出：宮崎玲奈
出演：天明留理子* 新田佑梨* 黒澤多生* 西風生子* 南風盛もえ* 山村麻由美* 藤家矢麻刀 （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2021年｜アトリエ春風舎｜94分
1980年東京、フミエ、アヤ、コウは父親なき後もそれなりに暮らしている。
ある日、コウと連絡が取れなくなる。
洞窟を訪れ、そこに現れたヘビに出会い、姿を変えられたコウ。
2019年東京、タナベ、ナツミはそれなりに暮らしている。
連絡の取れなくなっていたヨシカワが突然現れ、山に行こうと言い出すが。
40年前、40年後の世界が同時進行する、同時多発SF郷愁ロードムービー演劇。
©︎ 志賀耕太
『真昼森を抜ける』
作・演出：宮崎玲奈
出演：南風盛もえ（青年団） 藤家矢麻刀
撮影・編集：小宮山菜子
2021年｜こまばアゴラ劇場｜45分
人は出会いの刹那を繰り返す。
海で出会う子どもと老人、新宿バッティングセンターで出会う若者たち、海に住む夫婦。
人々の姿が地層のように重なり、時にすれ違う。
第11回せんがわ劇場演劇コンクールにて初演、演出家賞受賞（2021年調布市せんがわ劇場）
©︎ 志賀耕太
『東京の一日』
作・演出：宮崎玲奈
出演：立蔵葉子（梨茄子）* 石渡愛* 黒澤多生* 南風盛もえ* 伊藤拓* 黒澤優美 藤家矢麻刀 渡邉結衣 宮崎玲奈 （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2021年｜アトリエ春風舎｜87分
東京の一日。
住んでいる人、やってきた人、深夜のコンビニ、渋谷、部屋、それぞれの場所、若者たちに等しく訪れる朝と夜。数年でも数百年でも数億年でもある、一日の話。
©︎ 上原愛
『ことばにない』前編
作・演出：宮崎玲奈
出演：石川朝日 浦田すみれ 黒澤多生* 田島冴香（FUKAIPRODUCE羽衣）豊島晴香 南風盛もえ* 藤家矢麻刀 古川路（TeXi’s） 巻島みのり ワタナベミノリ 和田華子*
声の出演：立蔵葉子（梨茄子）* （*＝青年団）
撮影・編集：小宮山菜子
2022年｜こまばアゴラ劇場｜250分
20代後半を迎える朝美、かのこ、ゆず、美緒は元高校演劇部であったことを共通点に、友人関係にある。ある日、顧問の先生の訃報と残された草稿が発見される。「わたしはことばそれ自体になりたかった」「欲望は見えなくされているだけだ」と書かれたそれは、完成された物語ではなく、未完成の言葉の集合体だった。4人は残された言葉を「聞く」ことからはじめようとする。
プロポーズされたという朝美の報告に動揺するかのこ。恋人の花苗は「見えないもの」についての映画を撮る。人生のいい時をつなぎ合わせた奇跡みたいな瞬間を待っているのだと。見えない声を聞こうとする花苗が怖くなる。長年付き合っていた恋人のプロポーズに一抹の不安を抱く朝美。地元にいる高齢の両親を心配するゆず。仕事に精を出す美緒は、私の中身はからっぽなのだと語りだす。
残された言葉を聞く日々の中、起こる戦争やデモ、排除運動。4人の人生が偶然か必然か、歯車のように動いていく。
※全3幕構成 幕間休憩あり
各種イベント詳細
オープニングイベント 記者会見
『ことばにない』後編や、2023年・2024年のムニの動きについて記者会見します！
前夜祭／中夜祭／後夜祭
映像やイベントを観た感想をおしゃべりしたり、最近の出来事をおしゃべりしたり、そんなリゾーム機能な場として開放します。宮崎もおりますので、ぜひお話しましょう！
発酵イベント参加作品
① 15日（土）11:30〜13:00
④ 17日（月・祝）14:20〜15:30
吉田山羊『上演前』
作：吉田山羊
演出・出演：吉田山羊 藤家矢麻刀
これから映画が始まる。そのちょっと前を演劇にしました。
① 15日（土）11:30〜13:00
BJ『病妻』
赤刎千久子
いろいろな詩や小説の断片を繋いで別の話を作るBJ（ブックジョッキー）という朗読をします。
撮影：藤尾勘太郎
① 15日（土）11:30〜13:00
コント『マジック』『喫茶店』
作：加賀田玲
出演：加賀田玲 藤家矢麻刀 松尾由津香 宮崎玲奈 吉田山羊
協力：SCOOL
マジシャンが登場するコントと喫茶店で繰り広げられるコント。約10分。
① 15日（土）11:30〜13:00
sino nozaki presents『body』
野崎詩乃
１ヶ月の創作期間で、どこまでできるのか、のチャレンジ作品。28年と11ヶ月と25日くらいを生きた私をぎゅっとしてこねてこねて、振り落として叩きつけて少ーし整えて、それを素材そのままぱっと発表します。それ以外なーんにも決まっていません。これから考えます。きっと演劇です。とにかく動きたい〜。いってきます！
① 15日（土）11:30〜13:00
マルレーベル 新作ワークインプログレス『光景を見ているひとを、みんなで見てみる』
演出・出演：加茂慶太郎
戯曲の代わりに身体存在を発端に演劇をつくり上げるプロジェクト「光景」。今年の冬に上演する新作の、この時点最新の検討の様子を公開する。７月上旬に福岡市で実施したのち、この発酵シアターでは3名の出演者のうち１名のみが出演するかたちで実施。光景とは「そこにあるもの、と、それを感じているひと、との協働での確認作業のこと」なのかもしれない。劇場にいる全員で、個別それぞれの光景を見つめる時間を過ごしたい。
① 15日（土）11:30〜13:00
みのりぬと相根優貴『3』
脚本：みのりぬ
演出・出演：みのりぬ 相根優貴
みのりぬが人生で３本目に書いた超短編脚本を、友達の俳優、相根優貴と一緒に演じてみます。
② 15日（土）15:00〜16:00
黒澤優美 新作リーディング『赤と黄色の夢』
由紀子は長い夏休みのない、ぎりぎりの生活をする中で所有する贅沢が許せなくなり自分の描いた絵を燃やしてしまう。誠は、貯まった有休を一気に使い一か月仕事を休む。身の回りのぼんやりした死からのらりくらりする話。
③ 16日（日）16:30〜17:00
ムニの定期稽古中間発表
演出：宮崎玲奈
出演：伊藤拓（青年団） 南風盛もえ（青年団） 藤家矢麻刀
尾崎翠の戯曲『アップルパイの午後』を定期稽古中です。「尾崎翠「アツプルパイの午後」――妹たちの抵抗」という塚本靖代さんの論文があって、参考にしています。将来的に上演するかも。
④ 17日（月・祝）14:20〜15:30
宮崎と吉田『ディス・イズ・プライド』
作・演出・出演：宮崎玲奈 吉田山羊
職場でのしんどさを抱える吉田と、今秋の上演に向けて社会に不安を感じている宮崎による、本人演劇シリーズ第二弾。最近こんなことあって、こんな本読んでて〜ではじまる２人の会話を盗み聞きしてください。
④ 17日（月・祝）14:20〜15:30
亜人間都市『ちょっとした立ち話立ち話』
出演：大橋昌広 黒木洋平（亜人間都市） 香川修平 水川瑞穂
漫談のような一人語りで、短めの話をそれぞれ２分×８本くらいやりたいと思っています。悲惨な言葉の状況、何もかもが意味・意義に絡め取られ、それぞれのポジションに回収されて受け止められてしまうこの状況から、ミニマルでナンセンス、フィクションでありつつノンフィクションかもしれない語りでもって飛び出そうという試みです。次回公演（時期未定）に向けた形式のトライアルとしても行います。
④ 17日（月・祝）14:20〜15:30
アルマジロかぁちゃん『観客席』
土方 メンションしんたろう
京都の大学で出会い結成されたユニット。初めての公演では、引きこもりの男とイマジナリーフレンドのアルマジロ、パンチパーマな関西風かぁちゃんが織りなす闇落ちコメディみたいな展開に引っ張られ、全役者が本番前に情緒不安定となった。が、なんとか公演は成功を収めた？東京の地で再会し、公私とも心身ともに、安定的な演劇を目指す。
【お詫び】アルマジロかぁちゃんは、団体の希望により参加を見送ることとなりました。（7/13）
④ 17日（月・祝）14:20〜15:30
ゆずまる with イマジナリーフレンズ『大人は判ってくれない』
ゆずまるとぬいぐるみの子たち
ぬいぐるみのお友達とお芝居をします。ぬいぐるみは、無機物だけれど、せめてフィクションの中だけでも、生きて、幸せになってもらいたいと考えています。
＊発酵イベントは、一部公募によって発表者を決定しました。公募概要はこちら（受付終了）
メインビジュアル：江原未来 制作：河野遥（ヌトミック） 運営：伊藤拓（青年団）、黒澤多生（青年団）、南風盛もえ（青年団）、藤家矢麻刀
企画制作・主催：宮崎企画
助成：公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京［東京芸術文化創造発信助成］
協力：青年団、ヌトミック、プリッシマ、（有）レトル、スカンク/SKANK
