• ©伊藤香奈

大学卒業制作
『須磨浦旅行譚』”A Short Trip to Suma”
令和元年度北海道戯曲賞最終候補作品

作・演出|宮﨑玲奈
2019年2月1日(金)-2日(土) 全4ステージ @明治大学和泉キャンパス第一校舎005教室

あらすじ

高校の同級生カナコの突然の事故死から一ヶ月後、東京に住むわたしと地元に住むマナカの二人は須磨に住む、高校の同級生、藤くんに会いに行くことになる。 旅の途中、ヒッチハイクをしていた松田さんとサービスエリアで出会う。

出演

藤家矢麻刀 宮﨑玲奈 山口真央

舞台監督| 山口真央
舞台監督補佐|井神雅基
照明 |新貝友紀乃
制作 |栗山なつみ
宣伝美術| 山口真央      


協力| 実験劇場 無隣館

当日パンフレットの言葉

今回の作品は「変容」をテーマにつくりました。空間、時間、人の関係性が、そこにいること、話すことによって変わってゆく様を描くことはできるか、目の前に見えることや、意味としてわかることだけでなく、そこに積みかさなることで、なんとなく気持ちよく思える言葉や繊細な動き、普段見えなくなっていることを表出していこうということになりました。サンドイッチマンのコントには、伊達が「今日は〜だなぁ」と小ネタを挟み、一歩二歩すすむと、富澤に出会い、場の変容が起こり、お話がはじまっていくという仕組みがあります。お笑いやコントの、なにもない舞台の上にものを立ち上げていき、その場に笑いを起こすという方法、そこになにもなくとも、セリフによって、なにをしているかが後出し的に発見される豊かさや、そこにいることで起こる「歪み」を知覚していくことが変容の鍵であるように思います。また、舞台の上で何を根拠にして話すことができるのか、その一つに「聞く身体」が発話の鍵としてあるのではないかという仮説を立てました。わたしたちはどうすれば「話す」ことができるだろうというところから、「話す」ことについて見つめる中で、容れ物に言葉を入れるように、身体に言葉をなじませていき、相手の音に反応していく、演技をしない、という方法のようなものを発見しました。

 

見ている景色、生活の中で感じていることが戯曲の元になっていますが、同時に、世界がこうあってほしい、こんな世界だったらいいな、ということがその中には含まれている気がします。戯曲を通して、言いたいことはないですが、見せたい世界はたくさんあります。普段生活をしているわたしと、戯曲を書いているわたしがきちんと同じ線にいて、女の子のかっこ悪さや、変さ、がちゃんと見えていたらいいです。どうしたって、わたしが、わたしであることからは逃れられっこないし、違う自分にだって、なれないんだから、かっこ悪い、不器用な自分も、そんな自分から見えている世界のことも、無下にはできないように思います。

 

最後になりましたが、少しだけ、実験劇場の話をします。わたしが入部した時の実験劇場の先輩は4年、3年、2年の順にいわゆる「ヤバさ」がありました。(きっと代を遡るほどにその「ヤバさ」の度合いは高いように思います。)それは、むくむくと湧き上がってくるエネルギーを創作という方向に向けていた、時に不穏な、鬱屈した必死さや問いかけだったと思います。その不穏さや態度を、表に出すか、内に秘めるか、のいずれかの作り方をするかで、作品の色は変わってくるでしょう。この作品の場合は後者のように思います。演劇を続けていく人、続けない人、どちらもいると思います。少しでも、わたしたちが感じることのできていた「ヤバさ」の片鱗が伝わればよいなと思っています。卒業公演としてこの作品を使わせていただいたこと、協力していただいたみなさんに最後に感謝の場として使わせていただきます。

本日はご来場いただきましてありがとうございました。